収穫から最短で店頭に。みずみずしさイコール美味しさです。

飯塚 寛如さん / キュウリ農家

「キュウリの美味しさって、時間との戦いなんです」。5年前、就農を目的に千葉県から稲美町に移住し、この地でキュウリをメインに作り続けている飯塚さんは、言葉に力を込めます。収穫後、時間とともに美味しさのもとである水分が蒸発し失われていくため、穫ってからどれだけスピーディーに食卓まで届くかが、そのまま味の違いになるのだとか。その点、町内にある2つの直売所“ふぁ〜みんSHOPいなみ” “にじいろふぁ〜みん”や、スーパーに設けられた直売コーナーの店頭には、生産者が直接搬入するため、収穫から最短で商品が並ぶそうです。

凝縮されたキュウリ本来美味しさを

「特にキュウリのように鮮度がものを言う野菜の場合、直売所の商品は見ただけでハッキリわかるほどみずみずしさが違いますね。それなのに、安い。水分が多いので、手にとって力を入れるとパキッと気持ちよく折れますし、食べてもらったら、キュウリ本来の味がギュッと凝縮された美味しさを味わえますよ」。そう胸を張るほど自信のある商品に対して、お客さまの評価を示す答えは、その売れゆきです。キュウリは、1年のうち約7カ月という収穫期間中、収穫・出荷は毎日行うそうですが、キュウリを出荷するようになってからこれまでの数年間ずっと、売れ残ったことが1日もないのだとか。「一生懸命作れば作っただけ売れるので、作り手としてはありがたい環境ですね」。

農業の師匠との出会い

ちなみに、移住前は調理師として働いており、完全にゼロの状態から農業を始めた飯塚さん。そんな彼に、自身が運営する農地での実地研修を通じて農業のイロハを伝授し、さらに農地を借りるための窓口にもなってくれた町内の先輩農家さんと、行政の紹介で知り合えたことにとても感謝しているそうです。「彼はまさに農業の師匠といえる方。この町に来て彼と出会え、本当にラッキーでした」。

ところで、生まれ育った千葉ではずっとアレルギー性鼻炎持ちだったという飯塚さんが、稲美町への移住以後、ピタリと症状が治まったそうです。「向こうではしょっちゅうクシャミが出て、アレルギーの薬を頻繁に飲んでいましたが、まったくクシャミが出なくなりました。普段はそれほど意識しませんが、やっぱり、こっちは空気がきれいなんでしょうね」と、移住の副次効果も教えてくれました。