ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

あしあと

    園舎遺跡「園舎と試験場」

    • [公開日:]
    • ID:136

     欧州産葡萄の栽培と醸造、頒布などを目的にした播州葡萄園は明治政府の国家プロジェクトとして明治13年(1880年)に、当時の加古郡印南新村で開園しました。この年の3月に東京から苗木などを持ち込んで葡萄園づくりを始め、7月には園舎(管理事務所)が完成しています。そして明治20年に製作された疏水事業用の測量図では、その頃までに園舎周辺に合計8棟の建物が建っていたことがわかります。

     平成9(1997)年に行った発掘調査は、これらの建物のうち、馬車道と呼ばれている道の北側の4棟を確認する調査でした。

     その結果、これらの建物は単なる納屋ではなく、欧州産葡萄の栽培と醸造のための試験を行っていた現場だったと考えられます。栽培試験のためのガラス温室では、きっと大きな葡萄の房に歓声があがったことでしょう。明治16(1883)年に行った醸造試験の現場も、ここの建物のひとつであった可能性が高いのです。

     またこの調査では、瓦、陶器、板ガラス、ガラス瓶、革製品、木器、金属製品などの破片が大量に出土しました。その中でも「辰七月……内務省勧農局」と刻まれた井戸側瓦(平成10(1998)年3月に町指定文化財)は、「農務顛末」の記録と一致する重要な出土品です。さらに、地下室から木箱に入って出土した10本のガラス瓶(木箱とともに平成(1998)10年3月に町指定文化財)は、私たちの想像力を播州葡萄園の時代へ一挙に遡らせる力を持っています。驚いたことに、そのうち3本には栓がしてあって中味も残っていました。

     見渡すかぎりの葡萄畑の中は、殖産興業政策の壮大な試験場だったのです。そして園舎は、まさにその中枢部に位置していたのです。

    地下室遺構

    地下室遺構

    樽跡

    樽跡

    かまど跡

    かまど跡

    ガラス温室遺構

    ガラス温室遺構

    木箱に入って出土したガラス瓶

    木箱に入って出土したガラス瓶

    ガラス器と金属製品

    ガラス器と金属製品

    銘文井戸側瓦

    銘文井戸側瓦

    ■第1・2次調査検出遺構全体図

     ◎ 拡大する時は、図をクリックしてください。 ◎

    お問い合わせ

    稲美町教育委員会・教育政策部生涯学習課

    電話: (住民協働係)079-492-2340 (スポーツ係)079-492-1479 ファックス: (住民協働係)079-492-7878 (スポーツ係)079-492-0944

    電話番号のかけ間違いにご注意ください!

    お問い合わせフォーム